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2022.07.25

建築業界における女性の働く環境について。女性進出に向けた取り組みが始まっています。

初めまして。私は建築設計事務所で働く6年目の事務員です。

建築関係の学校に元々行っていた訳ではなく、たまたまご縁があり、今の会社に入社しました。
私自身、【建築関係】【建築設計】といえば男性が多いイメージ・偏見勝手に持っていて、最初は不安だったのですが、実際に働いていく中で多くの女性が設計士として活躍していて、それだけではなく業界全体としても女性進出に向けて多くの取り組みをしていることを知りました。
弊社でも実際に2人の女性設計士が活躍しています。
私のように、建築業界で働いてみたいけど、男性が多いイメージがあり不安な方に、昨今の建築業界における女性の働く環境について説明できればと思います。


※現場での1枚 NDC齊藤

建築・建設業界で働く女性現状について

まずは、建築業界でどれらくらい女性の進出が進んでいるのかを見てみましょう。

一級建築士資格取得者について、ここ10年の男女差を見てみると、
2012年では、合格者5,361人の内、男性78.4%・女性21.6%
2021年では、合格者3,761人の内、男性72.7%・女性27.3%
という結果でした。

この比率を見ると、徐々に建築業界にも女性進出の波が訪れていることがわかります。

また、建設業界で見ると、2020年時点の女性労働者の割合は16.5%とまだまだ低いですが、2011年は14%だったので、徐々に増えてきています。
*総務省「労働力調査」より

こういった現状からも分かる通り、建設、建築業界は、国、企業を通して女性進出に向けた取り組みを盛んに行い、現在も続々と新しい取り組みを開始しています。

国が推進する取り組みについて

国土交通省では、2014年8月から【もっと女性が活躍できる建設業行動計画】
更には、2020年1月に【女性の定着促進に向けた建設産業行動計画】を算定し、計画の中で様々な取り組みを実施しています。

【もっと女性が活躍できる建設業行動計画】では、「5年以内に女性倍増」を目指して官民で様々な取り組みがスタートしました。

女性活躍のための課題に重点的に対応した対策を「パッケージ」で総合的に推進していて、大きく分けて4つあります。

①「もっと女性が活躍できる建設業」地域協同推進事業

→地域ぐるみの女性活躍を支える活動を深化

②建設業・次世代女性リーダー育成

→女性リーダーの育成に向けた、研修。
・女性部下を持つ経営者向けの研修
・将来の現場で中核を担う女性向けの研修

③もっと女性が活躍できるモデル工事現場

→女性技能者が働きやすいモデル工事現場を支援

④女性活躍を応援する多業種横断プラットフォーム

→建設業以外のシーズ・アイデアと、建設業で働く女性のニーズをマッチングするプラットフォームを整備

【女性の定着促進に向けた建設産業行動計画】では、「女性が就業しやすい環境を作ることは、男女問わず誰もが働きやすい業界になること」と意味し、業界全体の活性を目標にしています。

計画目標は大きく分けて3つあり、いずれも令和6年までに達成することを目標としています。
①働き続けられる為の環境整備を進める
②女性に選ばれる建築産業を目指す。
③建設産業で働く女性を応援する取り組みを全国に根付かせる

それに伴う主な活動も、大きく3つに分けてあり、

①建設業に関心を持ち、入職する女性を増やす
(例)夏休み現場見学会の実施で女性技術者も案内等
②建設業で働き続ける
(例) 女性が働きやすい現場をハード面から環境整備
③女性の更なる活躍と向上
(例)次世代を担う女性リーダー層に向けた研修を実施。

これらの活動で、女性活躍の姿を広く社会に発信しています。


※現場での一枚 レベル確認の様子 NDC代表の藤井と齊藤

企業が推進する取り組みについて

国だけではなく、多くの企業でも建設業において女性が働きやすい取り組みをしています。

今回は、大手企業2社を参考に、取り組み内容を箇条書きにしてみました。

 株式会社 竹中工務店 での取り組み

・新卒採用者に占める技術系従業員のうち、女性従業員の割合を15%以上としている。

・採用ホームページにも、社内の各分野で活躍し、ロールモデルとなる人を積極的に紹介している。

・女性の技術者が現場で働きやすいよう職場環境を整備している。

・管理職登用平成25年から主任級の女性を対象に、選抜型育成研修である「女性リーダー育成研修」を開催。

・女性活躍推進に関するトップメッセージや、ダイバーシティをテーマとした役員・従業員の対話の様子を社内法を報じて全社員に発信。

・部下を育成する立場にあるライン長には、「ダイバーシティライン長研修」を実施。

・若手女性従業員による疲労軽減ウェア「職人DARWING小町」の開発

・女性従業員が現場・作業所で活躍できるような環境づくり

 株式会社 奥村組 の取り組み

・2021年3月15日には「えるぼし」認定の最高位となる3段階目を取得。
※「えるぼし」認定とは、女性活躍推進法に基づき一般事業主行動計画を策定し届出を行った企業のうち、取り組みの実施状況が優良であると認められる企業を認定する制度です。認定の段階は、5つの評価項目(※)の基準を満たした数に応じて3段階あり、奥村組は、5つ全ての基準を満たしていることから、最高位となる3段階目の認定を取得しました。
(※)5つの評価項目:①採用、②継続就業、③労働時間等の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコース

・積極的に女性を採用。2022年4月の新卒採用者111名の内、土木技術職8名、建築技術職6名、事務職7名の女性総合職を採用

・職員における女性の占める割合は、技術職では6.1%、事務・営業職では23.0%、全体で10.3%となっている(2022年4月1日現在)

・育児と仕事の両立を支援する制度。教育・研修や資格取得までの支援している。

・女性管理職の割合は2017年4月を1%とすると、2022年には3.7%に上がっている。

以上、今回は2つの大手企業を参考にしましたが、国と同様に様々な取り組みを行い、女性が働きやすい環境作りを近年実施していることがわかりました。

建築設計事務所の女性進出の取り組みについて

私が探した中では、建築設計の事務所で注目した取り組みはなかったのですが、東京都建築士事務所協会では女性の活躍推進に向けた取り組みをしています。

当協会では、【男女共同参画の実現】を目標に掲げ、働き方改革や女性の活躍推進への取り組みを行っています。

主な活動を箇条書きにしてみました。
・ライフステージに合わせたフレキシブルな働き方の事例研究
・女性からみた建築士事務所運営をテーマとする懇談会の開催・建築士の作業を効率化するさまざまなツールの普及
・起業希望者の支援等

また、設計事務所の現状を踏まえ具体的な行動に移してもらうための情報展開と改革支援を行っており、さまざまな規模の会員事務所の取り組みの工夫を働き方改革推進レポートとして小冊子にまとめ配布されています。


※仕事の様子 NDC齊藤

ちなみに私の事務所では「女性の活躍」を意識した取り組みを特段行っているわけではありませんが、1人1人が相手を思いやる気持ちを持って、男女関係なく仕事や作業のしやすい・過ごしやすい環境になるような設計を心掛けています。
その中で女性特有の目線というものはもちろんあり(お手洗いや更衣室等のオフィス環境やお客様とのコミュニケーションなど)、社員同士がさまざまなテーマで意見交換している場面がよくあるので、個人個人が対等な目線で仕事をすることで女性が働きやすい環境が作られているのではないかと思っています。

産休育休等の女性が働きやすい制度ももちろんありますが、それはもう当たり前の時代になってきているなと思いますので、個人個人が男女関係なくお互いに想いを持って働ける環境というのが結果的に女性でも男性でも働きやすく・活躍できる環境を作るのだと思います。
そこには私が入社前にイメージしていた建築設計の社会とはまた違う光景が広がっていたので、個人的に本当にかっこいいなと思いますし、どんどん社会もこういう風になっていっているんだなと感じています。


※打合せの様子 NDC塩見

最後に

 近年では女性建築士は年々増えているということ、女性も男性も働きやすい環境を国・企業とも目指していることがわかりました。
CMやテレビでも女性建築士が活躍されているのも最近ではよく見ますし、この記事を読んで頂いた方に少しでも読む前とイメージが変わったら良いなと思います。

ありがとうございました。


※NDC打合せの様子 様々なテーマで意見交換をしています

この記事を書いた人 : 大岡 里奈

入社6年目 事務担当の大岡です。
建築専門ではないですが、そんな私から見た建築業界を発信出来れば良いなと思っています✨

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